7 誕生、電話、葛藤

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「はい、もしもし」俺はスマホを耳元に当てた。 「あ、おはようございます」かしこまった女性の声だった。 「――山崎さんの携帯でよろしかったでしょうか? 私、株式会社エンドレスブレーン社人事部の、西川ゆかりと申します」  株式会社エンドレスブレーンといったら、昨日面接に行きそこなった「ブレーン社」じゃないか。  ライバルだってたくさんいる、行きそこなったらそこで不採用のはずだが……?  そう思っているうちにも、西川さんはつづけた。 「――実は昨日、堀越恵里菜という方が面接にいらっしゃいまして」  堀越恵里菜。もしかして、昨日痴漢にあってたあの人か――?  俺が唖然としている間も、西川さんはつづけた。 「――「山崎拓海」という方が痴漢を止めてくれた、とおっしゃっていたんです」  堀越さんは、ブレーン社の面接に行ったのか。  なら、俺もちゃんと電話すればよかった――そう悔やんでいるうちにも、西川さんはつづけた。 「それでですね、弊社としては、後日改めて面接をしたいと思っておりまして――でも、この面接は儀礼的なものですので、実質的にはもうほぼ内定だと思ってくれれば大丈夫です」 「――え、え、ほんとですか!?」    俺がスマホに向かってそう叫んだとき。  卵が普段の何倍にも明るく輝きだし、ひとりでにバスケットの外へと転がり落ちた。
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