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銃身から排出された空薬莢が床で跳ねた。銃声が止んだ店内に金属質なその音が響く。
男たちはサブマシンガンの銃口を下げた。互いに目配せをして頷き合う。身をひるがえし撤退をはじめる。
立ち込める煙を突き破り、男たちの方に黒檀の机が飛んできた。
「!!」
重厚な木製の家具が山なりの放物線を描いて落ちてくる。予期せぬことに男たちは悲鳴をあげる間もなかった。後ろを歩いていた二人が下敷きになる。落下の衝撃で床が揺れた。
「……ッ!」
男たちは立ち尽くした。飛んできた机を呆然と眺めている。
横倒しになった黒檀机の天板には無数の銃弾の痕があった。分厚く硬固な木材が凶弾の雨を受け止めていた。
下敷きになった仲間は、ひとりは下半身を巻き込まれて身動きが取れなくなっている。もうひとりは押し潰されていた。机の下からじわじわと血が広がっていく。
立ちすくんでいる男の前で煙幕が揺らいだ。煙のなかから現れた灰に、男は表情をこわばらせる。
灰は蔑むような冷たい目で見下ろした。そして右腕を振り上げる。
椅子で男を殴りつけた。木材と頭が割れる鈍い音、木片と血が飛び散った。
男は膝から崩れ落ちた。仰向けに倒れ、目を見開いたまま痙攣している。
灰は椅子の残骸を投げ捨て、残った男たちを睨んだ。
「これが噂のカスハラってやつ? 勘弁してくれませんかね」
男の一人が弾切れのサブマシンガンを捨て、腰のホルスターから拳銃を引き抜こうとした。
そんな男の背後から白蓮が話しかける。
「代えの弾倉は持ってないの? あまりに準備不足じゃないか、大丈夫そ?」
「え?」
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