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当たり前のようにそこに居る青年に、男は驚いたように振り返る。
白蓮は男の首元にナイフを突き刺した。状況を理解できず瞬きをしている男から銃を奪い、まわりの別の男たちへ向かって連続で発砲する。
応戦で飛んで来た銃弾は、ナイフが刺さったままの男の身体を盾にして回避。弾に穿たれた男が血だらけになっていく。
白蓮が撃った弾に当たった相手が、腹を押さえてよろめいた。近くの壁にもたれかかり、その顔は歪んでいて脂汗が噴き出していた。
灰が大股で近づいていく。
大きな影が覆いかぶさってくる威圧感。男の表情がさらに引き攣った。
その顔面を拳で殴りつける。男は吹き飛ばされて床に投げ出された。上体を起こそうとした男の顎を、灰が的確に蹴り抜く。男は床に伸びて動かなくなった。
「ひ、ひいい」
黒檀机の下から這い出した男が出口を目指した。折れた片足を引きずっている。
すぐに捕まえられる距離にいるが白蓮は動かない。必死に逃げていく姿を目で追っているだけだ。
死に物狂いの形相の男が店の敷居を跨ごうとした。
店の奥のカウンターから灰が、
「お客さま~。まだお話の途中ですよ、困ります~」
と朗らかな調子で声をかける。
そしてカウンター裏から鉈を取り出すと、笑顔で大きく振りかぶった。
唸りをあげて飛んできた鉈が男の背中に突き刺さる。脅しではなく、明確な殺意を持って投げつけられた凶器の勢いは男を外まで吹き飛ばす。
店の前には黒塗りの高級車が停まっている。男たちが乗りつけた車の側面に、男の身体が激突する。車体が大きく揺れ、飛び散った血が窓を塗り潰した。
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