38. 離れ離れになるのは辛いことですわ

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「友達とか家族の愛じゃだめなんだよ。結婚するくらい好きな人じゃなきゃ。レオのことももちろん愛しているけど、夫に対する愛と子どもに対する愛は別物じゃん? だから私じゃダメ。でもあんな邪道な魔法なんてピーターしか考えつかないだろうし、心配する必要はないと思うけど」  リサはそう言ってお茶をすすった。  その言い方では、まるで私とシュヴァリエが愛し合っているみたいだわ。  エドワードが意を決した表情でおもむろに聞いてきた。 「エマ様はレオと婚約なさったのですか?」 「してないわよ!」エドワードまで! 「では、これから婚約されるのですか?」  なぜそうなるのよ! 私が呆れ顔で答えようとしたとき、リサが割って入った。 「エドワード、落ち着いて。エマだっていつか結婚するんだから、知らない紳士よりもレオの方が嬉しいじゃん」  エドワードはリサの方をじっと見たあと、何も言わずにキッチンの方へ向かった。  それを目で追っていたリサが、私に視線を戻して苦笑する。 「ごめんね。父親みたいに思っているみたい」 「私もエドワードを父のように慕っています」 「そうなの? それは嬉しいねえ」驚いた後にこにことした笑みになった。  シュヴァリエはソファにもたれたまま、考え込んだ様子でやりとりを眺めている。 「どうしたの?」  私が聞いても、シュヴァリエは気のない目を合わせただけだった。 「いえ別に」  シュヴァリエは立ち上がり、階段を上がっていった。 「エマはお母さんのいるウェーデンへ行くと言っていたけど、ランスに戻ってくるの?」  リサに聞かれたので答えた。 「いえ、またウェーデンへ行きます」 「レオもついていくの?」 「シュヴァリエは、ランス軍に所属しているので」 「じゃあ離れ離れだね。うちもだけど寂しいよね」 「そのことなんですが、私が孤児院のお金を出しますから、エドワードには執事を辞めてもらって、孤児院に戻られたらどうかと思っているのですが」 「えっ? そんなの悪いよ」 「ても、父がタリアへ行ってしまったので、ここへ戻る頻度は減ってしまったのではないですか?」
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