40. 騎士も誰も敵わない公爵令嬢の命令は絶対よ

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「将官クラスでもなきゃ無理だろうってエドワードは言っていたいたけど、せめて準男爵でももらないか言うだけ言ってみるって」  はあ? 「求婚するなら爵位が必要だからって」  はああ? 「いつの間にそんな相手が。気がつかなかったわ」 「エマにするためだよ」  私? 求婚するって私に?  ああ、そっか。誰にも見初められないって言ったから同情してくれたのね。 「ちょっと様子を見てきます」  同情なんてして欲しくないわ。結婚に対するこだわりなんて、もうないもの。 「うん。気をつけて」  リサと握手をして別れたあと浮車用に馬を外したキャビンへ行くと、エドワードが荷物の確認をしてくれていた。 「エマ様、レオは待たれないのですか?」 「ええ。迎えに行くわ」 「レオは……」 「バカなやつね。私に同情して妙な真似をして。爵位が欲しいだなんて、軍の中で噂になったら面倒なことになるかもしれないのに」 「エマ様……」 「じゃあエドワード、また会いましょう!」  エドワードに手を振って、浮車を始動した。  10分ほどで城下町の入口へと到着した。  浮車は目立つため馬と御者を借りて馬車に切り替えて街に入り、城の門前へ行って王太子殿下にご挨拶をと伝えると、ただいま来客中のため応接室でお待ちくださいと門衛に言われて通された。  応接室にいたところ、殿下でもシュヴァリエでもなくベルタン侯爵が顔を出した。 「ミス・ヴァロワ、ごきげんよう。いかがされました?」 「シュヴァリエが爵位をもらえないかと殿下に進言しにきているらしいので、止めにきました」  ベルタン侯爵は目を丸くしたあと、笑い声をあげた。 「まさか! シュヴァリエ少佐が?」 「私がもう誰とも結婚できないからって同情して、私に求婚するつもりらしいんです」  ベルタン侯爵はまた驚いた顔をしたが、すぐに得心がいったように頷いて笑顔を浮かべた。
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