1. 公爵令嬢の私は最高の相手と結婚することになりました

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「コンティ公爵!」安心させるために明るい声で呼び止めた。  私の声で公爵の身体が大きく震えたため、怯えさせないようにと優しく肩に手を置いた。  もう安心ですよ。野盗はやっつけましたから。 「ひっ!」  振り向いたコンティ公爵は怯えた顔をしている。化け物でも見たような目だ。  混乱して勘違いしたのかしら? 私ですよ。婚約者のエマ・ヴァロワですよ。 「お……おそろしい女……」  ん? 女? 「触るな! 近づくな!」肩に置いた手を振り払われた。 「コンティ公爵?」  私はさらに一歩近づく。 「来るなあああああ」  ふらふらの足はどこへやら、公爵は目も見張る速さで走り去った。  嘘でしょ? 『ミス・ヴァロワは強いんだね。助けてくれてありがとう。大好きだよ』  ……そう言って先ほどの続きをしてくれるはずじゃないの?
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