11人が本棚に入れています
本棚に追加
「コンティ公爵!」安心させるために明るい声で呼び止めた。
私の声で公爵の身体が大きく震えたため、怯えさせないようにと優しく肩に手を置いた。
もう安心ですよ。野盗はやっつけましたから。
「ひっ!」
振り向いたコンティ公爵は怯えた顔をしている。化け物でも見たような目だ。
混乱して勘違いしたのかしら? 私ですよ。婚約者のエマ・ヴァロワですよ。
「お……おそろしい女……」
ん? 女?
「触るな! 近づくな!」肩に置いた手を振り払われた。
「コンティ公爵?」
私はさらに一歩近づく。
「来るなあああああ」
ふらふらの足はどこへやら、公爵は目も見張る速さで走り去った。
嘘でしょ?
『ミス・ヴァロワは強いんだね。助けてくれてありがとう。大好きだよ』
……そう言って先ほどの続きをしてくれるはずじゃないの?
最初のコメントを投稿しよう!