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9.
*
ジホは建物主だった。 それもソウル江南駅周辺に高価なビルをいくつも所有している建物主。 それでも建物主という職業はないから、それでカフェを一つ設けた。
カフェの社長という肩書きと財力、そして外見。 すべてが完璧なジホに渡らない男はいなかった。 もちろん1人だけ除いて。 その一人がまさにパク·ボムだった。
初めて本気になったパク·ボムに見事に振られた後、ジホはしばらく人生をあきらめた人のように夜の生活を楽しんだ。 最初からカフェに愛情がなかったため、マネージャーにすべての仕事を任せた彼が、一週間も欠かさずカフェに顔をしかめていた。
大きな身辺の変化があったわけではない。 ただコーヒーの香りが妙に懐かしくて気持ちが良かったからだ。
今日も街が一番よく見える場所を占めたジホが一人だけの考えにふけっていると 後ろでひそひそ話す職員たちのささやきが聞こえた。
「マネージャーさん、 社長どうしたんですか?」
「そうだね…···. 出しても分かるか」
「私は社長が移民されたと思ったじゃないですか。 ずっと見えないので。 ところで、最近はどうしてこんなによくいらっしゃるんですか? 「マネージャーさん、社長どこか具合が悪いんですか?」
「体は元気そうだし…」 頭が痛いんじゃないかな? 君たちの考えはどう?」
全部聞こえるんだけど? ジホは肩越しにマネージャーを睨んだ。
「頭ですか?脳の方が悪いんですか?」
「いや、そっちじゃなくて。 少し味が薄くなったように見えるって。 ほら、一人であんなにうんちフォームを掴んでるの。 正気にああいうことはできないだろう」
これが言葉なら甘いと思うか。 そろそろ怒りゲージが蹴り始めたジホは不快感が沸き上がった。
「いや~どうしたんですか。 社長はあれでもよくお似合いですよ? ハンサムじゃないですか」
「君たちはまだ幼いからだけど、人は顔だけ見て評価してはいけない。 かっこいいよね。 でも、年甲斐がないじゃん。 責任感もないし。 そして、人が軽い。 雲よりもっと軽いと思うよ?」
「本当ですか?」
「あの年に恋人がいないわけがない」
それだよ、私が恋人を作らないから。 さて. なんで悪口を人の後ろでこんなに堂々と言うんだ? 社長の広い雅量で我慢しようとしたが、とても我慢できなかった。 席から飛び起きたジホは、この陰口の主動者を呼んだ。
「おい!マネージャー!」
ジホの叫びにぽかぽかと集まっていた職員たちが急いでばらばらになった。 そのため、一人残されたマネージャーは怖がるどころか、渋い表情でジホと視線を合わせた。
「あなた、こっちに来て、ここに座って」
ジホの命令にマネージャーは黙って向かい側に座り込んだ。 当然表情は良くなかったし、ジホはそのようなマネージャーと静かな雪合戦を繰り広げた。 これが敢えて社長の悪口を言って生き残ることを望んでいるのではないだろう? という視線を投げかけたが、マネージャーの反応は冷ややかだった。
「あなた、本当にこうする?」
「何が」
「何が?社長にタメ口で話すの?」
「ああ、やった。 じゃあ、私切るの? そうしてくれる? 私、本当にやめたいんだけど。 社長というやつは、刺された時だけここに顔を出して、ある時は、最初から潜水してしまうんだ。 それでも売り上げが伸びなければ、それでどれだけ嘘をつくのか」
結局、爆発してしまったマネージャーの不平不満にジホはおとなしく座り、慈しみ深い笑みを浮かべた。
「笑うな、むかつくから」
「あなたは社長にそれが何の口癖なの。 私だから大目に見てくれるんだ」
「いや、私がここで推奴すれば、私のようにこき使う良い奴隷を手に入れるのが難しいからだろう」
全部正しい言葉なのでジホは反論できなかった。
「頑張ろう。 これ何だよ、これ。 お店だけ私に任せておけばいいの? ずっとこうしてたら私もじっとしてないよ、おばさんに全部言うよ? 兄さん、最近は建物で、カフェには全く気を使わないんだよ」
急にマネージャーとジホの立場が変わった。 突然の主客転倒にもジホが怒れないのはマネージャーがまさにジホの従弟であるためだ。 やつの脅迫にジホはかっとなった。
「おい!正直、僕がここにいても! お前たちだけ不便なんだよ。 これは全部スタッフの便宜を考えて! 私が勝手に抜けてくれるの知らないの? あなたはどうしてそんなに考えが詰まったの? 「あなた、火が出る。トッポッキ知ってる?」
状況と合わない火が出るトッポッキが飛び出すと、カフェマネージャーのギョンホが狂った奴を見るようにジホを見た。
「それはなぜ?」
「知ってる、知らない」
「それはもう流行ってないよ。 なんで?新しい恋人が食べたいって?」
「私、恋人いないの?」
「ああ、言い間違えた。 ワンナイト相手って言うのかな?」
ギョンホはいとこの兄であり、このカフェの社長であるイ·ジホが芸人家族の中で唯一知っているやつだった。 以前、モーテルの前で男と出てくるのをキョンホに引っかかって強制的にアウトティングをするようになったのだ。 幸い、ギョンホはいとこの兄がゲイだということに大きな偏見はなかった。 ただ、ジホが追求する恋愛スタイルを誰よりも嫌がって軽蔑するだけだった。 今もギョンホはジホを虫を見るように見ながら舌打ちをした。
「今回は何日間の恋人なの? 兄さん、そのうち病気になるんだよ」
「これは兄さんに言えないことがないね」
「私が何度も警告するが、私が性病にかかったらすぐ叔母に全部言う」
冗談ではないことを物語るように、ギョンホの表情は真剣だった。 本当にジホが性病でもかかったら、家族に爆発させる勢いだった。 瞬間、背筋がぞっとしたジホは体を震わせながら頭を振った。 もし、家族にゲイということが明らかになる日には、どんなことが起こるか火を見るよりも明らかだった。
所有する財産はすべて没収され,乞食として追い出されるだろう。 むしろ非婚主義者だと主張した方が皆のために良かった。
「無駄口をきくな。 それチェーン店なんだって? この近くにあるだろう?」
「あるだろう。あ、またどうして!」
「何でって、何だよ! 食べたいからだよ! お世辞じゃなくて、一つやらせてくれ」
「何を?トッポッキを?」 ここに?」
「え、なんで?だめ?」
「ここはカフェだよ!」
「ところで?私のカフェだよ。 私のカフェで私がトッポッキも食べられないの?」
ジホが明るく答えると、ギョンホは長くため息をついた。
「本当にいろいろやってる」
独り言をつぶやきながら携帯電話をいじっていたギョンホの顔には不満がいっぱいだった。 とにかくやらせてあげるくせに、ぶうぶう言うのは。 警護をちらりと見て、ジホは習慣的に携帯電話をいじった。
しばらくの間、チャ·イヨンからメッセージが届いていた。 元気なのかという安否に元気だと返事を送ったジホはニッコリと笑った。
真冬の友人であるチャ·イヨンは、性格が冬とは全く違った。 自分と対話コードが合って面白いが、残念ながら顔は好みと距離があった。 急に真冬を思い出すと、ジホは一週間前のことを思い出した。
その日は知り合いが斡旋した合コンがあった日だった。 期待せずに出かけたが、意外とジホの好みにぴったりの男性が出てきて驚いた。
それでご飯を食べた後、お酒を一杯飲もうとバーに寄った。 普段のイ·ジホだったらそのままホテルに直行しただろうが、お酒を飲みながらもっと会話をするつもりだった。
雰囲気は悪くなかった。 合コンの人と酒に酔って席を立つ直前、そこで真冬に会った。 しばらく忘れていた真冬を見るやいなや、ジホは合コン中だったということも喜びに近づいたが、無視された。
瞬間、意地ができたジホは、合コンの男を慌てて送り返し、真冬にしつこくしがみついた。 わざと親しいふりをして肩を抱きしめるなど、彼が嫌がるようなことを選んでしたが、幸い拒否されることはなかった。
その代わり、真冬の友人と意気投合し、とんでもないことをし、気が狂いそうなほど久しぶりに酒を飲み干した。 何の精神で真冬とモーテルに行ったのかは分からないが、目を覚ましてみるとジホはまた真冬と同じベッドだった。
2度も男と同じベッドで寝たにもかかわらず、何も起こらなかったということは、イ·ジホにとって奇跡のようなことだった。 幸いなことが? そんな中、面白いのは真冬の表情だった。
朝、絶望的な表情でジホを睨んだ真冬はかなり可愛かった。 写真に撮っておけばよかった··· ジホは濃い二重に大きな目を持った男が好みだったが、薄い中の二重に目で笑う男も悪くないようだった。
真冬の微笑みがきれいではある。 思わずニヤリと笑って鼻歌を歌っていた時だった。
「兄貴」
AAA1がしらけた声で呼んだ。
「お兄さんって、私たちの公私とは区別しようか?」
「ひどく問い詰めるな。 社長様」
「おい、くっつけて呼んで!なんで?」
だから家族経営はだめなんだって。 社長に匹敵しなさい。 そうだね。一気に切っちゃおうかな。 ジホが怒った表情で睨んだが、ギョンホは淡々と話した。
「火事だ、トッポッキは閉まってるみたいだけど?」
驚いたジホは目を丸くしてAAAを見た。
「じゃあどうするの? 他のところはないの?」
「どうしてわかるの! あ、知らない! 営業妨害しないで出て行け! カフェでどうしてトッポッキを頼んで食べるんだよ、ジラルは!」
「消えるの?おい!私、ここの社長だよ!」
「社長なら社長らしくちょっとしなさい! 商売の邪魔をせずに消えろ! 本当に面倒くさくてたまらないんだって!」
キョンホの言葉が長くなるほど、そこにいた人々の視線がジホに集中した。 人々の視線を受けるのは良いが、このように雑商人扱いされるのは良くなかった。
「あなた、覚えておけ」
「全然怖くないよ?」
腹話術でキョンホに警告を投げても通じなかった。 結局、ジホはカフェから逃げるように出てきた。 これって盗人猛々しいんじゃないの? 私のカフェで私がどうしてこんな扱いを受けなければならないの。
遅ればせながら悔しさを吐露したが、再び戻って問い詰めることはできなかった。 ああ見えてもジホが信用する人間だったからだ。
「あ~トッポッキ食べたい」
カフェから追い出されたジホは、駐車場に停めておいた車で、これからどうすればいいか計画を立てなければならなかった。 もちろん他のチェーン店を探せばいいが、あえてそこまでして食べる価値があるだろうかと思う。 何より一人で食べたら美味しくなさそうだけど···
私、今日特別にやることがあったのかな? いや、ない。 約束は今からでもつかめば取れるだろうが、そこまでして会いたい人もいなかった。
しばらく悩んでいたジホは躊躇なく車のエンジンをかけた。 トッポッキは食べたいが、一人で食べるのは嫌で、思い浮かぶ人がいるところはたった一ヵ所しかなかった。
目的地を決めると、ジホは躊躇なく実行に移した。
ソウル駅に車を駐車し、大邱(テグ)行きのKTXに乗り込んだ。 幼い頃以来初めて乗る汽車はジホに遠足に行くときめきを抱かせた。 チャ·イヨンが教えてくれた通り、汽車に乗ったが、1時間半の間、何をすればいいだろうか。
ぼんやりと風景を鑑賞していたジホは、突然この状況を自慢したい相手を思い出した。 携帯電話を取り出して通話ボタンを押してしばらくして相手は電話に出た。
「もしもし?何してるの? 電話に出てもいい?」
-あ、休み時間。何?何かあったの?
こういうのが恋人と友達の違いなのかな。 もし恋人の電話だったらこんな風に出なかったのに。 面倒くさそうなパク·ボムの話し方にジホは苦笑いした。
「おい、ちょっと優しく受けてみろ。 必ずこんな風に差別しなければならないの?」
-電話に出てくれたことだけでもありがたく思う。 なに、どうしたの?
「私、今汽車に乗ったよ? どこに行くのか当ててみて」
-死ぬ?私はあなたが電車に乗っても乗らなくても興味がないんだ? なんで?テグに行くの?
なんで分かったの? 軽く投げた言葉にボムが正確に当てると、ジホは呆れて大笑いした。 その笑いに状況に気づいたボムは短く舌打ちをした。
-あなた 冬さんに興味ある?
「どうか?私の好みじゃないんですよ。 ただついでに行くだけで、冬が見に行くのではない」
ジホが真顔だったが、春は信じていない様子だった。
-冬が?いつそんなに親しくなったの?
「なんで嫉妬してるの?」
-あなた このレギュラーからずっと冬さんのことで私に電話するの知ってるよね? 火事だ、トッポッキを一緒に食べたと、その嫌がらせをして、一週間前には一緒にお酒も飲んだんだって。 ところで、また大邱に行くの? これはどういう意味だと思う?
「どういう意味なの?」
-急に会いたくなったり、思い出したりするよね?
「どうして分かったの?」
その瞬間、思わず答えたジホは口を手で塞いだ。 余計なことを言った」と自らを自責していた時、パク·ボムの笑い声が聞こえた。
-イ·ジホ、好みがかなり変わったね?
「違うよ!そんなことないよ!」
-確かに違うんだけど。
何が合ってるの。 顔がこわばったジホは眉間にしわを寄せた。 世の中が二つに分かれても、イ·ジホの男の好みだけは変わらないと自負していた。 誰が何と言っても私のあごまで届く背、黒髪に二重の濃い目の高い鼻、可愛いアイドルのようなスタイルを愛した。
黒髪以外に全然マッチするものがない真冬に私が関心があるって? とんでもない話だった。
「見当違いだ。 私たちお酒を飲む時、親しく過ごすことにしたの? 君が思っているようなものではないから、変な想像するな」
-じゃあ、そんな想像しないようにしてあげないと。 あなた その日合コンしたあの子を捨てて冬さんとお酒を飲んだと噂が全部出た。
「噂?何の噂。 それが大変なことだって」
大変ではあった。 久しぶりに私の好みに合う男が現れたが、そのまま帰らせたから。 だからといって噂になるほどではないようだが···
-本当に知らないの? あなた 恋愛すると噂になったじゃない。
「え?私が?誰と?」
初めて聞く知らせにジホは呆然とした。 本人も知らない恋愛が始まっていたって?
-誰って誰だよ、冬の種だよ。 この辺で噂が広まったのに、なんであなただけ知らないの? とにかく私の休み時間は終わったよ。 切るよ。あ!おめでとう。 イ·ジホ。
「おい!何を祝うんだよ! おい! ちょっと待って! ボラム? ボラム! ....あ、本当に違うって! 私、その真冬か初冬かと何の関係もないって!」
ジホは言い訳を並べ立てたが、すでに携帯電話の通話は切れた後だった。
「とんでもないことを言わなきゃ」
私が真冬に興味があるの? どう考えても全く説得力のない話だった。 水っぽく笑ったジホは、その言葉を心に留めておかなかった。 どうせそんな噂が初めてでもないし、人々が作った噂が本物かどうかは本人だけが知っていることだから。
ところが、2時間後に冬と向き合ったジホは変な気分だった。 私の電話を無視する冬の態度が特に気に障った。
どうしたんだろう? 無視されるのが初めてでもないのに、妙に気が抜けた。
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