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* 赤いタレをたっぷりつけたトッポッキは口の中がひりひりするほど辛いが、伸びるチーズまで一緒に食べると幻想的な味が広がった。 一体誰がこんな組み合わせを考えたんだ? だからこれを食べるんだ。 ジホが辛いトッポッキをあたふたと食べている間、向かい側に座った冬はあきれたという視線を投げかけた。 そうしようがしまいが、ジホはその多かったトッポッキを一人で全部食べてしまった。 「おいしいでしょう?」 真冬の隣に座った中年の男。 このおいしいトッポッキを買ってきた彼は、真冬の父親だと自分を紹介した。 年齢は50代半ばくらいに見えるが、どうやら若くして父親になったようだ。 お腹を満たしたジホが水を飲むためにコップを持ち上げると、冬の父親が桃味のジュースを渡した。 一歩遅れて鼻をすすっていたジホは、それで口の火を消した。 あ、やっとちょっと生き返った。 一層余裕ができたジホが満足そうな笑みを浮かべている時、自分をじっと見る真冬と視線が合った。 「なぜ?」という視線に、冬はテーブルを目で指差した。 やっとジホは空腹で目がひっくり返った自分ががつがつ食べた跡を見た。 あちこちにトッポッキの汁がぽたぽた落ちていた。 「ちょっと汚いね··· ごめんなさいね. 私が全部食べましたね。 これはいくらですか? 私がお金を差し上げます」 ジホが財布を取り出そうとすると、冬の父親は淡い笑みを浮かべながら断った。 「結構です。おいしく食べたならそれでいいです。 ちょうど量が多くて、私が困るところでした。 こいつ、私と口が違ってこういうのは嫌いなんですよ。 こんなにおいしいのに」 「こんなにおいしいものが嫌いなんですか?」 「チャンヒョンがいたら一緒に食べようと注文したんですが、幸い他のお客さんがいましたね。うちのキョウルが友達ですか?」 ひりひりした口の中を飲み物でなだめていたジホは、冬の父親の関心が自分に注がれると、照れくさそうに笑った。 私たちって友達なのかな? その問いに答えられないと、冬が突然割り込んできた。 「友達じゃなくて、ただの知り合い」 「ただの知り合い? 君の周りにはどうしてこんなにハンサムな人が多いの。 お父さんの胸をときめかせる」 「お父さん、いい加減にして。 どうしてこんなに顔を明るくするの?」 「ハンサムならいいんだよ。 あなたも怒らないで笑って。 カフェをやっているやつがかんしゃくを起こす」 「また小言を言う。 分かった。分かったって。 1番だけしましょう」 親子の会話を聞いていたジホは2人を交互に見た。 父親は濃い二重にくぼんだ目、鼻、口が魅力的なかわいい顔、髪の毛が薄い茶色なのに比べて真冬は漆黒のような髪の毛と中の二重に長く破れた目、少し上がった口元。 東洋的な顔だった。 どう見ても、どう見ても金持ちにしては全く似ていない外見だった。 お母さんに似てるのかな··· 確かに自分もお父さんよりお母さんによく似ている方だから。 ジホがしばらく一人で考え込んでいた時だった。 「食べ終わったら行きましょうか?」 「真冬、またこんなもんだ。 あなたはお父さんが少し前にも言ったよね! そんな風に言うんじゃないよ」 「お父さんは何も知らないくせに、割り込むな、この人はご飯だけ食べて行くと言ったんだから」 「それでもそうだよ、あなた 訪ねてきた人、こんなに叱ってはいけない」 「面と向かってじゃなくて! それもあり得るからこうするんじゃないの、私が余計にこうすると思う?」 金持ちが自分のために戦い始めると、ジホは余計な火の粉が飛ぶのではないかと思って息を殺した。 一人でいたらこのまま追い出されただろうが、幸い真冬に父親が私の肩を持ってくれて助かった。 「あなた、たまに見るとすごく薄情だよ。 知ってる?」 「パパ!」 父の勝利なのか。 理由は分からないが、冬は固い表情で口を固く閉じた。 雰囲気どうしたんだよ。 そのまま行けばよかったかな··· 顔色を伺っていたジホは、トッポッキを食べたのが胃もたれしそうだった。 「ごめんなさい、この子は元々こうなんです。 すごく冷たいんだって?」 「あ、はい…」 言葉を濁したジホは、このぎこちない雰囲気を変えたかった。 そこで、わざと明るい声で冬の父に話しかけた。 「こんなにおいしいトッポッキは 初めて食べました、お父さん」 「いや、トッポッキが全部そこからそこまでですね。 お腹がすいてもっとそうだったみたい。 でも、すごくおいしく食べますね。 大人たちが本当に喜ぶだろう。」 「私がちょっと大人に食われる顔ではありますね」 「性格もすごくいい。 私はハンサムだが、食べ物もおいしく食べる人が好きだ。」 「ああ、ちょうど私ですね」 「どうしよう、冬よ。こんなにユーモアまであるから 私はドキドキする」 真冬とは目が合うと喧嘩したが、真冬の父親とは会話がよく通じた。 軽い冗談の一言に2人が笑い出すと、冬の情けないという視線が飛んできた。 それでもジホは私の味方ができて良かった。 今でも大丈夫な方だが、若い頃の真冬の父親はかなりかわいい外見だったはずだ。 多分もう少し若かったら連絡先をとったかも。 それだけジホの好みに合うルックスだった。 そんな陰険な考えがばれたのか、にらむ真冬の視線にジホはドキッとした。 自然に視線を向けたが、自分に向けた鋭い警告が殺到した。 「お父さん、それはばかげているの知ってるでしょう? そして気をつけてね。 この男は、男を捕まえない男を止めない部類だから」 「ああ…···. そっちなの?」 行く男を捕まえない男を止めないなんて。 父の前でそんな言い方をしたらどう思うかと詰問しようとする矢先、何か変な事をした。 そっちって? もしかして真冬は家族にカミングアウトしたのかな? ジホは首をかしげた。 「じゃあ、もう聞かないで、ぱっと見たら分からないの? 息子がゲイで友人、知人問わずみんなゲイなら、やってくる人もほとんどゲイだと。 人を見る目がそんなにないの? 確かに、いないからそんな男と暮らしてたんだよ。」 「真冬。 あなた しきりにそんな風に言うとパパ怒る」 「全然怖くないですね」 自然に会話を続ける金持ちの間でジホはそのまま固まってしまった。 本当にカミングアウトしたの? 当惑するこの雰囲気に適応できずにいる時、真冬はそのようなジホを哀れみながら話を続けた。 「警告するが、うちの父にでたらめを言うと死ぬ」 真冬にイ·ジホという人間がどのように認識されたのか分かるような気がした。 自分がいくら恋愛に寛大でも、それほどゴミではなかった。 「いや…あの」 誤解という言い訳をするために口を開いたが、むしろ真冬の父親は顔を赤らめて喜んだ。 「冬よ、お前がどうして大騒ぎするんだ、俺はサンキューだよ! 若い男が私のこと好きだって」 「お父さん!ちょっと!」 「冬よ、お父さんまだ魅力あるの?」 「もちろんだよ。誰のお父さんなの。 いくらなんでも、私より15歳年上の男でなければ、許してくれないよ」 「なんで?」 「族譜がこじれるじゃないか。 私は私より年下のやつにパパと呼ぶ自信がないんだ」 水を飲んでいたジホはそのまま噴き出すところだった。 ここは大韓民国だよね? 一瞬、アメリカだと思った。 なんでこんなに開放的なんだ。 誰よりも開放的な自分さえ適応できない対話だった。 父親に15歳年上の男性恋人を勧める息子だなんて。 こういうのが長幼の序なの? そのまま固まってしまったまま目玉だけをあちこち転がしていたジホは、努めて笑いをこらえている冬を見た。 ジホを横目で見る「冬のお父さん」もあまり変わらなかった。 しばらくぎこちない静寂が流れ、ようやくジホは気づいた。 もしかして、私からからかわれたのかな? どうやらそのようだ。 そりゃそうだ、お父さんがゲイでなくては話にならない冗談だった。 さっきまで息を殺していたジホはニヤリと笑って火災を切り替えた。 「お母さんに似てるみたいですね」 「なんでですか? お父さんと似てないからですか?」 「お父さん、若い頃のイケメン? そういう話をよく聞いたと思うんだけど。そうでしょう?」 和気あいあいとした雰囲気のために投げた褒め言葉に、真冬は淡々と答えた。 「実の父じゃないから、当然似てないでしょう」 「冬よ」 乾かす冬の父の手にも真冬はよどみなかった。 思いもよらない返事に言葉が詰まったジホは照れくさそうに笑った。 敢えてここまで言う必要があるのかと思った。 言った人は恥ずかしくない。 「いいじゃないか。それが重要なのか? お父さんが私のお父さんであることが重要だよ。 え?お父さん、お客さんが入る。 早く行ってみて」 道の向こうの小さな花屋に誰かが入るのを見て、冬が父親の背中を押した。 ぱっと立ち上がった冬、父親はジホに申し訳ないという言葉を残して慌てて席を離れた。 タイミングよく信号が緑色に変わり、横断歩道を渡った彼は花屋の中に消えた。 あっ、あそこがお父さんのお店だったんだ。 その姿をぼんやりと見守っているうちに、冬はテーブルの上を整理し始めた。 「私が···助けて」 「いいですよ、もういいから」 冷ややかにジホの手を断った冬は忙しく動いた。 小さなカフェでも客はかなり多かった。 自分には冷たいが、お客さんにはよく笑う真冬を見物していたら、計画にもなかった1時間が過ぎた。 「行かないんですか?」 見ていられなかった冬が、お客さんがいない間に近づいてきて問い詰めるように尋ねた。 もちろん行くつもりだ。 ところでこいつは特にどうして私にだけ気難しいんだろう? 最初の出会いがそれで?違う。 それにしては最初からジホを見る視線が良くなかった。 ゆっくり席を立ったジホはためらいながら口を開いた。 さっきから気になって気が狂いそうな重要な問題から慎重に聞いた。 「もしご両親にカミングアウト····」 「したんですが、なぜですか?」 「そうでしょ?そうだと思った。 どうりで、雰囲気がそうだったよ。 お父様が開放的ですね?」 主にジホが男を誘惑する時に使う魅力的な笑みを浮かべたが、冬は大きな反応がなかった。 むしろ軽蔑に近い視線が飛んできた。 おかしいね、これが通じないの? 気まずい静寂の中でジホは急いで話を続けた。 「あの…今度」 「いいえ」 まだ話を全部してもいないのに冬は憎たらしく言葉を絶ってしまった。 少し腹が立ったが、ジホは努めて笑った。 これ以上不必要な神経戦を繰り広げたくなかった。 「いや、だから。 人の話を聞いて断るのが…」 「いいえ、いやです」 断固たる冬の態度にジホは奥歯をかみしめた。 冬もそんなジホを冷たく見て、ぶっきらぼうに付け加えた。 「私はお金をもらったし、あなたが望む通りに私の前で食べているのを見てあげたし、だから私たちがこれ以上会う必要はないと思うんだけど。 もしあなたが私にしたことを噂にするのではないかと心配して、それなら、私は意外と口が重いから心配しないでください」 自分がここまで来た意図を最初から知っていたということじゃない? 驚いたジホが間抜けな表情で見つめると、ギョウルが肩をすくめながらニッコリと笑った。 何だよ、笑ってる。 冬の笑いに伝染したジホも水っぽく笑った。 さっきまで目を見開いて戦ったのが嘘のようだった。 ほら、こういうこともあるじゃん。 思ったよりいい男のようで親しくなりたかった。 「次は本当にちゃんとした…」 「いいえ, そんなことはありません」 雰囲気が良い隙を狙って食事かお酒でも飲もうという話を投げかけようとしたが、真冬はまた真顔になってきっぱりと言葉を切った。 「ねえ、真冬さん? 私がそっちに他の気持ちがあるからじゃなくて!」 「あ、はい。分かりましたから、行ってください」 「......」 「行ってください、ドアを開けてあげましょうか」 これがここまで真顔になることなの? その瞬間、かっとなったジホもやる気が出てきた。 「私ここにまた来るよ?」 「え?」 「え?」 「来るんですか?ここに?また?」 やばい。僕が今、何を言ったんだよ。 しかし、一度言った言葉は再び取り消すことができなかった。 どうせこうなったから来るんだよ。 ジホは呆れた表情をしている冬の中がひっくり返る姿が見たかった。 「トッポッキを食べにまた来ようと思って。 今度は私がおごるとお父さんに言ってくれ」 ジホの攻撃に冬の顔は硬くなった。 誰が見てもジホの訪問が全く嬉しくない様子だった。 だから、もっと来たいじゃん。 「これチェーン店なのでソウルにもあるんですよ?」 「あ、そうなの? でも、私はここで食べた方がもっとおいしいと思って!」 「どうかしましたか?」 あ、やばい。 人の誠意を言葉の最後に無視して消せと言うから。 両手を広げて歓迎は望まなくても、このような扱いは気持ちが汚かった。 ジホはかっとなる真冬を後にしてカフェを出た。 当然、ドアを蹴って出てきた冬は、ジホに向かって怒りをぶちまけた。 「ほら!」 「私の名前を知っていながら、ほら、ほら、ほら、こんな風に呼ばないでよ?」 カフェの前に止めておいた車のドアを開けていたジホの表情が一層余裕があった。 これまで真冬にやられてばかりいたが、このようなやり方で復讐をすると、なぜか勝利感に胸がじいんとした。 「私に興味ありますか?」 なぜこの言葉が出ないのかと思った。 運転席に乗ったジホは、ドアを閉める前に自分を斜めに見る冬に向かって苦笑いをした。 「まさか、魅力がないわ、あなた」 父親に似ていれば好感があっただろうが、今は全くジホの好みではなかった。 ジホの断固たる話し方に冬は眉をひそめた。 「ありがとうございます。ところで、どうしてため口なんですか?」 「私があなたより年上だから?」 「はぁ…」 大きく息を吸った冬の怒った視線が注がれると、ジホは静かに車のドアを閉めた。 自分より背も体格も小さいが、がっしりした体だった。 酒に酔った自分を背負うくらいなら見た目より力もいいだろう。 そんな男と殴り合いはできるだけ避けたかった。 「おい……は。イ·ジホさん。」 そっと車の窓から降りたジホは、真冬の次の言葉をどう言い返すか準備中だった。 「ご自由になさってください。 次からは前もって連絡してください」 「......」 「あ、そしてそれを初めて食べるならちょっと大変だと思うけど。 お大事に。」 ところが、怒ると思ったら、予想より早く諦めてしまった。 何だよ、面白くない。 「お大事に?」 たかがトッポッキを食べたことで体を大事にするなんて。 ジホはニヤリと笑った。 これはどういう意味かと聞くこともできなかった。 真冬はその言葉だけを投げつけたまま、カフェの中に消えたからだ。 彼はジホが行こうが行くまいが関心もない様子だった。 その男は車が消えることまで見てくれたのに、人を差別するには。 短く舌を蹴ったジホは渋い表情で車のエンジンをかけた。 その日の夕方。 長時間の運転で疲れたジホは楽に休めなかった。 真冬の「体調管理」という言葉がどういう意味なのか、ようやく理解することができた。 辛いトッポッキを食べたせいで一晩中お腹が痛かった。 -------------------------------------------------------------------
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