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それから俺たちは、少しずつだけど、恋人としての関係を築いていった。仕事が終わった後に二人で食事に行ったり、週末には映画を見たりする時間が増えていった。
彼女はまだ自分の過去については詳しく話してくれないことがあるが、それでも一緒にいる時間は確かに輝いていた。
「昔の遥」との思い出は、もう俺の中で過去のものになった。今、俺が向き合っているのは目の前の遥だ。
新しい彼女との未来を大切にしながら、俺はまた一歩ずつ前に進んでいる。
星の降る夜、彼女と一緒に夜空を見上げながら、俺はそっと彼女の肩に手を回した。彼女は驚いたように俺を見上げ、そして微笑んだ。
「また、星がきれいですね」
「うん。きっと、俺たちを見守ってくれてるんだよ」
その言葉に彼女は嬉しそうに頷き、俺たちは静かに夜空を見つめ続けた。
遥と付き合い始めてから、日々がさらに色鮮やかになった。
彼女との日常は、普通の出来事でも特別に感じられる瞬間が増えた。お互いに仕事が忙しい時もあったが、少しの隙間時間でも一緒にいることが、何よりの安らぎだった。
ある日、俺たちは星空を見に山へ出かけた。冷たい夜風が肌に触れるが、彼女の隣にいるとそれすらも心地よい。俺たちは静かに手をつなぎながら、星々が散りばめられた夜空を眺めていた。
「遥、今までありがとうな。君と一緒にいると、俺は本当に幸せだ」
俺はふと、言葉にできない感情を口にした。彼女は静かに頷き、俺に寄り添う。
「私もです。優斗さんと一緒にいることが、何より大切なことです」
星々が瞬く夜空の下、彼女の横顔を見つめていると、昔の遥との思い出がふと心に浮かんだ。
あの頃も、同じように星を見上げながら、遥と未来を語り合ったことがあった。今隣にいるのは別の「遥」だが、彼女と共有する未来は、これから新たに描かれていく。
「ずっと一緒にいような。どんなことがあっても、俺たちなら乗り越えられる気がする」
「はい、私もそう信じています。これからも、優斗さんと一緒に未来を歩んでいきたいです」
その時、ふと流れ星が夜空を横切った。二人で同時にそれを見つめ、同じ願いを心に秘めた。
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