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遥がいなくなってから、日々が無味乾燥なものに感じるようになった。何をしても、心が空っぽのままだ。けれど、俺は彼女との約束を胸に生き続けている。彼女と過ごした時間は、今も俺を支えている。 そして、夜空を見上げるたびに思う。いつか、星の降る夜に、また彼女に会えると信じている。そう思いながら、俺は今日も静かに夜を過ごすのだ。 時が経ち、俺は大人になっていた。あの頃は病気と戦い、毎日が不安だったが、奇跡的に俺の体は回復し、今では普通の生活を送っている。遥がいなくなったあの日から、たくさんの季節が過ぎた。 高校を卒業し、大学に進み、今は都内の小さな広告代理店で会社員として働いている。 日常の中で、ふとした瞬間に遥のことを思い出すことがある。特に夜空を見上げると、遥との約束が胸に響く。 「また会おうな、絶対に」 その言葉を胸に、俺は今日まで生きてきた。 しかし、遥の面影が薄れることはない。あの日の記憶は色あせることなく、今も俺を支えている。彼女との思い出が、どんなに孤独でも前に進む力をくれる。 その日、俺の会社に新しい社員が入ってきた。新人研修があるということで、俺は簡単な挨拶をするために会議室に向かっていた。ドアを開けると、数人の新入社員が並んで座っていた。 だが、その中の一人を見た瞬間、俺は時間が止まったかのように立ち尽くしてしまった。 「はじめまして。今日からこちらでお世話になります、遠藤遥です」 彼女の声、姿、全てがあまりに懐かしく、胸が締めつけられる。 「……遥?」 無意識に俺はその名前を口にしてしまった。そこに立っていたのは、紛れもなく、遥だった。 いや、そう見えるだけかもしれない。目の前にいるのは、彼女と同じ名前を持ち、顔も声もそっくりな別の人間だろう。 しかし、その瞬間、俺の心は彼女が“遥”であると信じ込んでいた。
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