”悠斗”と”悠汰”

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「分かる! 待って、明日も会議?」 「あー……うん。まぁでも明日はサラッと確認するだけだからすぐ終わるって」 「あー、じゃいっか」 昔はどちらも真面目な優等生だった。だけど、親や先生からの期待、周りからの羨望と嫉妬の目に疲れてしまった。 そこで僕たちは話し合った。 片方が真面目に生活し、片方が不真面目に生活する。 疲れたら入れ替わって、息抜きをする。 僕らは同じ声で同じ顔なんだから、誰も気づきやしない。 「じゃあ”悠汰”。明日は間違って俺のこと”悠斗”って呼ぶなよ?」 「そっちこそ」 優等生のほうが”悠汰”になり、問題児のほうが”悠斗”になる。 周りからは僕らの仲がいいように見えないように。 入れ替わっていることがバレないように。 「あ、今日の授業ノート見せて」 「そうだったね。2時間目と4時間目だっけ」 細かく情報を交換して穴ができないようにする。 大変なこともあるけれど、僕たちが俺たちでいるために必要なことだから頑張れる。 2人きりの時だけが、どちらがどちらでも構わない時間。 それ以外では、家族の前でも完璧に入れ替わる。 「”悠斗”。今日もお疲れ様」 「”悠汰”こそ。今日はよく頑張ったね」 正反対の僕たちは、似た者同士。 だって俺たちは双子なのだから。
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