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生徒会長と問題児
「会長、またあの問題児です……!」
生徒会室にいた僕の耳に、副会長の声が届く。
中庭が騒がしいと、会議終わりに生徒会室を出て行った副会長が報告に戻ってきたようだ。
「報告ありがとう。いつも迷惑をかけてごめんね」
「いえ、迷惑だなんて……。それに、会長が謝るようなことはないでしょう? むしろ迷惑を掛けられているのは会長のほうなのに。あいつ、会長の双子の兄弟なんですよね? それなのにこんなに会長に迷惑ばっかりかけるなんて」
忌々しそうな顔を隠しもせずに文句を言う副会長に苦笑いを零す。
「そうだね。……ちょっと行ってくるよ。会議の片付け、任せていいかな」
「もちろんです!」
「終わったら帰っていいからね」
「はい。お疲れさまです」
生徒会室を出た僕は、のんびり廊下を歩く。
校舎内を歩く人の姿はなく、遠くから運動部や吹奏楽部が部活に励む声が聞こえるばかり。
2階と1階の間の踊り場まで来たところで、中庭の喧騒が耳に届いた。
「その程度か? 雑魚だなぁてめぇら! アッハハハ!」
楽しそうな聞き覚えのある片割れの声。
もし他の人が聞いたなら僕の声と区別がつかないのかもしれない。
強いて言うならば、優等生な生徒会長があんな風に笑ったりしない、という先入観で判断するんだろうな。
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