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実の所、結婚してからというものの高畠は言動がはるえと結婚する前とは変わり、精神的にネチネチと文句を言うようになったり、してもらって当たり前、育児家事を仕事が忙しいという理由ではるえに押し付けていたのだ。
「……はるえお母さん……見てて辛いよ。死んだお母さんもお父さんに酷いこと言われて辛くて……死んじゃったのよ」
未羽は泣き出した。
そう、未羽の母は自死だった。夫によるモラハラで。
はるえは抱きしめた。未羽を。
何度か高畠のことは見ていたが外面が良かったせいで気づかなかった。
未羽も物心ついた時から目の前で父親が母親にキツくあたる姿を見ていたがどうすることもできなかったし、生活のためにも父のそばにいなくてはいけなかった。
「……お母さんも私も未羽を守ってるからね」
未羽はぎゅっとはるえを抱きしめる。
「お母さんも……アゲハ蝶じゃなくて蜂に生まれ変わって戻ってきて欲しかったな」
「えっ?」
「だってさ、お父さん昔スズメ蜂に刺されたんだ」
「……あら」
「もう一回刺されたら……」
と言った未羽の手をはるえは強く握った。
「だめよ、美羽ちゃん!」
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