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「お母さんはそんなことを望んでないわ。わたしも」
「じゃない限りはるえお母さんも……死んじゃう!!!」
子供ながらにも父親に対する殺意。涙が溢れた未羽の目はとてもきつかった。
はるえはここ最近とは言わずニュースなどで中高生の子供が親や兄弟祖父母を殺傷した事件は全国各所であった。
未羽にはそうであってはいけない……。はるえ自身も限界が来ていた。だが……。
「あなたのお母さんは……優しい人だった。私が夫を亡くした時に声をかけてくれて。優しく接してくれた」
「……」
「未羽ちゃんがまだ小さい頃で大変だったのにも関わらずね、本当に彼女がいなかったら私は……夫の後を追っていたわ」
「そうだったの?」
物心ついた頃からはるえの書道に通っていた。それははるえが夫を亡くして一年後に開いたのであった。
それも未羽の母の励ましがあったからであったのだ。
「未羽ちゃん、あなたは優しい子……物騒なことを思っちゃいけません」
再びはるえが抱きしめるとアゲハ蝶が空高く飛び立った。
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