神や妖が視える俺の正体がヤバくて日本三大妖怪から日本を救うため激ヤバ最強組織を創る

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「では双方の弁護人、前へ。」 「弁護人?!」 そんなの頼んだ覚えはない。 誰なんだ、俺の弁護人なんてできるやつは?! 「えっ?……彦ぉぉお〜〜っ」 俺は感激して迂闊にも涙が出そうになってしまった。 さすが俺の1番の友だ!! こいつは少し天然なところもある神だが、仕事熱心でシッカリしていて物知りで、実はとても頼りがいのある神なのだ。 しかし俺は、デンの弁護人とやらを見て開いた口が塞がらなくなった。 マジで顎が外れるんじゃないかと思った。 デンの弁護人はなんと……… うちの愛犬シーズー(10歳)プヌだったのだ! おいおい弁護人がうちの犬ってどーゆーことだよ!! つかいつの間に勝手に連れてきてんだよ!! 弁護人てより弁護犬だろそりゃ!! 「狐大神の弁護人・プヌ氏には、犬語が分からない者たちに向けて特別に、犬語通訳師の天通弾尊神様にお越しいただきました。」 いやいやそもそもなんで俺のプヌちゃんがそっちの味方なんだよ?!?! 飼い主の味方してくれないとかマジなの?! っておまっ、すましてんじゃねーよプヌ!! 「わんわん、くぅん、わわん!わ、わわんわわん!」 「……ふむふむ……ほぅ…なんとっ……ふむ、なるほど…なぬっ…」 犬語通訳師とプヌからの冷たい視線を浴びながら、俺はまさに悪口を言われているような気分になる。 まぁ、悪口に違いないけど…。 「おほんっ。えぇ…被告人の愛犬プヌ氏の供述によりますと、飼い主である被告人は、なんと!毎日全く同じ食事しか与えてくれないとのことです!!!」 「「「!!!!」」」 この場にいる全員の、驚きとショックが入り交じった声でいっぱいになる。 や、ちょっと待て。 それ全部お前個人の話で裁判カンケーないだろ!! 「わんわん!わわわん!わわん!わん!」 まだあんのかよっ!! 「ふむふむ、なんですとっ?! しかもそれは、味も素っ気もないと!!」 なっ、なんって犬なんだ!! 栄養考えてしっかり作られてるドッグフードなんだから仕方ないだろ!! しかもけっこー高めのやつ選んでんだぞ!! 「ん?…なんと!……そ、それなのに自分は毎日豪華な食事を食べていて?! ごく稀にスナックのほんの端っこを投げてよこすと! しかも……そっ、それを得るためにいちいちお手やお座りなどの芸をっ、きょ強要までされるですと?!?!」 キャー!とかギャァーとか悲鳴や雄叫びまで聞こえてきた。 あ、オワッタ俺。 こうして聞くともう間違いなく俺が悪いじゃん。 まるで史上最悪の極悪人みたいだわ。 「被告人は…何か異議はあるのかな?」 裁判官まで明らかにブチギレている。 「ぃえ……ないです……」 あ……あれ…? 自覚なかったけど俺、なんかマジですっげー悪いやつだったっぽいな……。 え、どーしよ。 俺この罪償いきれるんかな…… 「異議あり!!宜しいでしょうか、裁判官!」 そそそーーーだ!! 俺にはこいつが居たんじゃないか彦ぉお!! 「わたくしはご周知の通り、猫の専門です。 ですので犬や猫に関しては深い知識を持っていると自負しております。その上で申し上げますが、まず基本的に、健康上の理由から、犬猫に人間の食べ物を与えてはならないのです。」 ははは初めてマトモなの来たぁあああ!!! 「よって、愛犬には栄養価の高いドッグフードのみ与え続けるというその執念深さこそ!まさに愛犬に対する深い愛情の表れなのではないでしょうか!」 俺は不覚にも涙が溢れてきてしまった。 彦……あぁ、彦…… お前はやっぱ一生の親友だよ!! 「また、味も素っ気もないというのは昴くんのせいではなく、動物食品メーカーの責任であるかと。」 うんうん、そうそう、そうなんだよ… よく言ってくれたね彦くん……。 周りの神々も意見を改め始めたのか、先程のピリピリした空気ではなくなり、こそこそと意見交換をしている様子だ。 「しかしながら、おやつを与える際の芸の強要などは鬼畜すぎて、わたくしでも弁護のしようがありません!」 え……?……ひ、彦くん? 「ふむ……では今回の判決、どうしたものか……」 ってか、え、ちょっと待って?? なんの裁判だったっけこれ…? 俺とデンの受験期仕事の話じゃなかったっけ? あれ、違った?? なんでいつの間にか俺のペットの話になってんの?! す、涼しい顔してんなよまた!俺のプヌ! 仮にもお前の飼い主なんだぞ俺はっ!! 「…さて被告人。」 「へぃ……」 「反省はしていますか?」 「チッ……ま、まぁ…はぃ……なんとなく?」 「被告人を有罪判決とする!!」 はぁあああーーー?!?! おっっかしいだろオイオイオイオイ!! なんっってテキトーなんだ神世界の裁判てのは!! 「主文。被告人・坂東昴は……」 なんと俺は、この裁判に負けたらしい。 しかも俺の刑罰は、 今後のデンとプヌへの扱いを改めることと、その2匹に1日最低1回は必ず好物を与えること。 仕事を月に最低100はこなすという鬼畜ノルマ。 そして受けた仕事はグチグチ言わずに最後までやり遂げ、依頼人の納得がいかなかった場合は如何なる理由があろうと無給になる……などというなんとも理不尽なものだった。 このことがあってから俺は、神界ではさらに有名人に…… いや有名どころか俺のことを知らないものは、全世界にいなくなったらしい。 なんたって歴史上前代未聞の、神と人間の裁判だったのだから。 そして俺は、今まで以上に忙しくなり、こんにちに至るというわけだ。 どうだ、可哀想だろう。
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