第1章 出逢う

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 僕は落ち込んだけれど、それは決して顔に出さないようにする。だって、顔に出したら気を遣わせてしまうだろうから。 「……別に、俺は仲良しこよしをしてもいいとは思うけれどね」  しばらくして、ボソッとエカードさんが呟いた。驚いて彼の顔を見つめれば、彼は肩をすくめる。 「結局、意思疎通が大切っていうことだからさ。……ある程度の信頼関係は必要だ」  エカードさんはさも当然のようにそう言う。  そして、ティーカップを口に運ぶ。さすがはお貴族さまというべきか。仕草や動きの全てが美しくて、無駄がない。 「そうかよ。……じゃあ、二人で信頼関係でも築いていればいい。俺はごめんだな」  ちらりと僕たちに視線を向けて、キリアンさんがそう吐き捨てた。  エカードさんは困ったような笑みを浮かべるだけだ。  ……これは、どうすればいいんだろうか。 (と、とりあえず、お茶でも飲もう……)  なんか変な空気になった所為で、喉がカラカラだった。  僕はティーカップを手に取って、もう一度口に運ぶ。 「あつっ!」  だけど、慌てて飲もうとした所為だろう。熱くてついつい声が漏れる。  しかも、驚きすぎてティーカップから手を離してしまった。
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