第1章 出逢う

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 ぽふんと音を立ててティーセットが姿を現した。アンティークもののカップとポットは、師匠のお気に入り。 「さて、キミも飲むんだろう。そこに座れ」 「……はい」  ポットから紅茶を注ぐ師匠。  鼻に届くのは、いい香り。あぁ、先ほどの鼻が曲がりそうなにおいよりもずっとずーっといい。  いつもの場所に腰を下ろして、僕は自然と眉をひそめた。 「……硬い」  王城のソファーはふかふかで、快適だったのにな……。  心の中でそう思っていれば、師匠がけらけらと声を上げて笑う。 「あそこと一緒になどしてくれるなよ。ここはあくまでも一般的な家だ」 「……僕がソファーを買い直してもいいですか?」  これでもそれなりに貯金はある。というか、師匠がちまちまとくれるお小遣いを貯めていたらこうなった。  一人掛けのソファーくらいならば、買えると思うんだけど……。 「やめておくんだね。……どうせ、キミは使わないさ」  けど、師匠はそう言う。使わないって、僕が使うために買うはずなんだけど……。 「さ、まぁ、そんなソファーの話はいいとして。キミの話が聞きたい。生まれて初めての王城は、どうだったかい?」  師匠が脚を組んで、そのうえで手を組みつつそう問いかけてくる。  その姿を見て、僕は恐る恐る口を開いた。
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