第1章 出逢う

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 そして、僕を見据えた。 「私もキミも、家族に問題があった。だから、私はキミを追い出すことが出来なかった」 「……師匠」 「けれど、なによりも私はキミの類まれなる魔法の才能に惹かれたのさ。……それは、本当のことだ」  立ち上がった師匠が、僕のほうに歩み寄ってくる。顔を上げて彼のことを見つめる。  彼の手が僕の肩を軽く叩いた。……まるで、元気づけるみたいだ。 「ジェリー、キミは何処に出しても恥ずかしくない、立派な魔法使いであり、私の弟子だ」  こんなことを師匠に言われたのは、初めてだった。  その所為なんだろうか。僕の目から涙が溢れそうになる。嬉しくて、たまらなくて……。 「というわけで、適度にお土産を頼むよ。あぁ、魔道具が良いな。もしくは、その地域独特の薬」  ……一気に涙が引っ込んだ。  師匠には僕の感動を返してほしい。 「キミの未来に、幸せが溢れることを、私は願うよ」  でも、きっと。師匠のその言葉は、嘘でも冗談でもなくて。  ――心の底からの言葉だったんだろう。それだけは、よくわかった。
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