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「とにかく行こうよ。……あ、どうせだし、もう夕飯を食べて戻ろうか」
「……あぁ」
僕は場を無理やり明るくするように声を弾ませる。
キリアンはなにか言いたそうだったけど、うなずいてくれる。多分、今は僕に深入りするべきではないとわかってくれたんだろう。
(キリアンにも事情がある。僕にも事情がある。互いに不快にならない距離感を掴まなくちゃ)
万が一、その一線を越えてしまったら。僕らは友人のままじゃいられないような気がしていた。
僕とキリアンが友人なのかは、ちょっと疑問だけど。
「ここら辺は、なにが美味しいんだろうね」
「そうだな。この近くに大規模な農地があるということから、野菜が美味いらしい。あと、畜産業もやってるから、肉類だな」
「へぇ、キリアンは物知りなんだね」
野菜とお肉、か。
「代わりに魚類はなかなか手に入らないらしい」
「海は遠いからわかるけど、川魚は?」
「ここら辺の川にはろくに食える魚がいないらしいぞ。食えたとしても不味いらしい」
ふぅん、いろいろな事情があるんだねぇ。
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