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あれは、大型の台風が迫ると世間が大騒ぎしていた夏の夜だった。
一人の男が近づいてきて、俺をかいたいと言った。男は自らを〈タチ〉だと明かした。
いろいろなやつと関係を持ってきたが、俺を自宅にまで招いたのは、この男が初めてだった。
雨風をしのげるなら悪い気はせず、のこのこついていったのが運のつきだった。
いざ、男の家に足を踏み入れて……俺は早くも後悔した。他人の生活する領域というのは、なぜこうも匂いが気になるのか――。
どうしても落ち着かなくて、上がりがまちで小さくなっていると、男は俺を無理矢理シャワールームに連れ込んだ。
男の異常性が垣間見えた瞬間だった。
自分でできると言っているのに、男は泡にまみれた手で俺の体を弄った。
拒もうとも、無駄だった。男は俺より恵まれた体格で力も強く、体ごと抱き込まれてはどうすることもできなかった。
抵抗するほどに、男はどこかにやけたツラで「ごめん」と言った。そして言葉と裏腹に、無駄だと思い知らされる圧倒的な力を見せつけて、男は俺の体を弄んだのだ――。
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