狂気のコレクション

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 俺は界隈では〈ネコ〉と呼ばれるものに属する一人だ。  引く手数多……というほど優れた容姿はしていないが、うらぶれた街の片隅でちょっと澄ました顔をしていれば、引っ掛かるやつはそれなりにいる。  束縛の強い母親から逃げ出してから、俺はそうやって食い繋いできた。  ひとところに落ち着くつもりはなく、都合よく俺を可愛がるやつを、俺も都合よく利用していくつもりだった。  あの日まで――。
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