それを言うのは

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 おなかを満たすと、わたしは自室に戻って塾へ行く支度をした。  玄関の戸締りの確認をして、速足で向かった。自習をするなら家より外がいい。外には話しかければ言葉を返してくれる誰かがいる。  塾が終わると、遅くまで開いているスーパーへ直行だ。必要な食材をさっさとカートへ入れた。てきぱきと買い物を済ませるのもうまくなった。  ちょっと買い込みすぎたかな、と思った以上に重くなったエコバッグを両手にして、わたしはすっかり暗くなった空を見上げてため息をついた。  ふいに、片方の手が軽くなった。 「もう一個も持ってやる。貸せ」  そう言って手を差し出したのは、隣に住む同級生の海斗だった。
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