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泣かずに幸せになっていいんだよ。
あのときは本気で思ったのに......。
本当に幸せそうな顔をみたら、そんな言動はハリボテだったと
気づかされた。
なんだよ、なんなんだよ。
そんなにスッキリと活き活きとしてさ。
こっちは部屋を追い出されて、寂しい独り暮らしで。
しかも変な虫までいて、変な生活してて。
早足で教室へと移動して席に着く。
そこへ友人の中山良二(なかやま りょうじ)が近づいてきた。
「なあ、なあ、康介、合コンに誘われたんだ、おまえもどうだ?」
合コン?
「お相手はM女子大だってさ、すげえだろ!なかなか出会えないぜ」
僕は理恵と別れたから、合コンに誘われているんだ。
「あと一人って言われたんだ、なあ、行こうぜ」
「良二にはデリカシーってものが無いのか!」
僕の大声で周囲の生徒たちが振り向いた。
「そもそも、理恵を紹介してきたのも良二だ!
なんであんなオンナに出会わせた?そんなことしなかったら、
理恵にフラれることもなかったんだ、おまえのせいだ!
おまえが僕を地獄に突き落としたんだよ!
しかもフラれたばかりの僕に合コン?そんな簡単に切り替えられたら、
誰も苦労しないんだよ!いいかげんにしろ!もう僕に話しかけるな!」
色んなものがたまって爆発した。
僕は肩掛け鞄を掴んで教室を出て、自転車に乗って住まいへ向かった。
帰り道でポツポツと雨が降り始めて、帰宅するとき本降りになった。
なにもかもがタイミングが悪すぎて、更なる空しさの雨の直撃を受けた。
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