1人が本棚に入れています
本棚に追加
それ以来、大学をサボっている。
良二からのラインには返事をしていない。
良二に、謝らなきゃ。
だけど、できなかった。
大学も、行かなきゃ。
だけど、理恵を見たくなかった。
それでもスーパーには毎日、行った。
うつむいて歩くから、昼間の空も夕焼けにも心が動かない。
そうして帰宅すると......。
「おかえり!おかえり!」
声が聞こえてくる。
その声に癒されるようになっていた。
自分の帰りを待ってくれてるようで。
少し嬉しくて「ただいま」と、言う。
「今夜の晩ご飯は何かな!」
という言葉で、自炊をする気力が出る。
もう、それだけでいいような気がしていた。
人と揉めることに疲れた。
虫なら感情なく同じことを繰り返すだけだ。
僕を裏切らないし、僕を酷い人間にもさせない。
もうなんにもいらない。
この部屋と虫だけが、あればいい。
最初のコメントを投稿しよう!