おかえりの部屋

15/19
前へ
/19ページ
次へ
「帰宅すると『おかえり』って、言ってくるんだ」 「はあ?なに言ってんの?」 「そういう部屋なんだよ」 「そんなわけあるかよ!なに?心霊現象?」 「違うんだよ」 言い合っているあいだにも声は続く。 「おかえり!おかえり!」 「おまえ誰だ!」 良二が叫んだ。 「晴日、晴れた日って書いて『はるひ』だよ、四才」 「え......?」 声が「今夜の晩ご飯は何かな!」ではない言葉を発した。 「どこだ、どこに隠れてる?」 「ここだよ」 部屋の片隅が淡く光って、小さな男の子が出現した。 白いシャツに黒い半ズボンで裸足だった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加