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唐突に虫、晴日は、いなくなった。
その数日後に不動産屋から電話がかかってきた。
『虫を消す方法が、やっと、わかりました!
虫は幽霊とかじゃないんです。大事な瞬間を繰り返す生霊なんです。
だから、ひとつの大切なもの以外、もっと思い出せば消えるんです。
とにかく関係を深めて、話しかけてみるんですよ』
「そうですか、ありがとうございます」
そんな難しいことを、良二と僕は、奇遇にもやってのけてしまったのだ。
ということは。
この部屋に以前に住んでいた誰か、なのだろうか?
不動産屋に聞いてみたが、個人情報としては知れなかった。
いまのアパートがもっと古かった頃は、もっと広い部屋だった。
それだけは調べて知ることができた。
そのときにシングルマザーが息子と住んでいたかもしれない。
その親子は生きて、どこかにいるのだろうか?
それとも......。
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