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森の中を歩きながら、雪白王子は傍らの妹をちらと見た。
肌は雪のように白く、髪は黒檀のように黒く、唇は血のように赤く。まだ十二歳であるためか、背格好も何もかも自分と変わらぬ少女の姿に奇妙な心持ちとなる。
男女別に育てられた故、あまり交流してこなかった妹には愛着もさほどない。それでも人を殺すというのは、敵の大将首を取るというのならいざ知らず、女子供の命を奪うというのは人道に悖る。斯様な汚れ仕事を課すとは、自分は何か母の気に食わぬことをしてしまったのだろうか。そんな迂闊な真似はしていないつもりだが。
「ねえお兄様、どこまでまいりますの?」
無垢な笑顔で尋ねてくる妹。まさか自分の死に場所へ連れてかれようとしているとは思いもよらないだろう。
「もうすぐだよ。ここを抜けた先に花畑があるんだ」
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