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「先生は苦しくなった時、どうやって乗り越えてましたか?」
「うーん。自分を支えてくれる人の顔、応援してくれるファンの顔を思い出す。それと、自分のなりたい未来像を描くことで頑張ってるかな。あとは自分を信じることかな」
「やっぱり、先生は凄い人ですね……」
私には先生のような自分の背中を押すための理由がまだない。あるとしても「音楽が好き」それだけの理由だけ。誰の顔も浮かばなくて、なりたい未来像も、自分を信じることもできない。
「凄くない、さっきのは後付けの理由みたいなもの。実際なんて、『諦められない』その心だけ」
「諦めたくない……ですか」
「そう。葉子ちゃんはどうして歌とギターを習おうと思ったの?」
「それは……好きだったからです。音楽が好きで、大好きだから」
質問に答えると、先生は包み込むような笑みを浮かべ、「それだって、立派な理由だよ」と言った。
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