解放された日

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 咄嗟に豚の貯金箱を後ろに隠したが、すぐに母にバレて奪われてしまう。  「『葉子お姉ちゃんのギター』ね。自分では買えないから妹に買ってもらうつもり?」  妹たちが誤解を解こうと口を開くも、母は二人の頭を優しく撫でて「あのね。私はあなたたちの為にお小遣いをあげているの。だから、葉子なんかに使わなくていいの。あんな、くそ野郎に似た娘なんかに」と言う。次は私の髪をつかみ「ここに置いてもらえるだけ感謝しなさいよ。本当なら追い出してやろうとしたんだからな」と母は睨む。そんな時だった、たまたま帰ってきた姉が「何してるの!」と声を上げる。母は姉に気づくと、たちまち表情を変えた。  「あら!帰ってくるなら言ってちょうだいよ」  「別に、荷物取りに来ただけだから必要ないでしょ」  「なんで、そんなに冷たいの?お母さんがなにかした?」  母の言葉を無視して、姉は私の元へ歩いてくる。  「大丈夫?なんか、前よりも痩せてない?」  差し伸べられた手を取り、立ち上がる。
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