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「鍵付きの箱なんだけど、鍵をどこにやったか思い出せなくてさ。開けて欲しいんだよね。できれば箱を壊さずに」
「大事なものでも入ってんの?」
「昔の私には大事だったものだと思うよ」
「つまり覚えてないんだ」
「……うん」
鋭い洞察力で図星をついてきた悟から視線を逸らす。
意図せず悟の部屋の中が見えた。机の上のゲームPCの画面には「pause」の文字が浮いていた。
「ちょっと待ってて」
部屋に戻った悟は、机の引き出しから何かを取り出し戻ってきた。
手に持っていたのは針金。
「持ってて」
私に宝箱を持ち直させた悟は、鍵穴に針金を差し込んだ。
数秒カチャカチャと針金を動かせば、あっという間に鍵が開いた。
「はい開いた」
「さっすが! その技術犯罪にだけは使っちゃだめよ」
「はいはい」
ありがと~、とお礼を言ってリビングに戻る。
ドキドキしながら蓋を開けると、中には大量の封筒が入っていた。
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