宝箱の中身

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だけど私は彼がくれるラブレターを捨てられなかったし、こうやって宝箱に入れて集めていた。 彼から37通目のラブレターをもらったとき。 私はふと思った。 この先、こんなにも一生懸命に私に「好き」を伝えてくれる人が現れるだろうか。 私は今までの手紙をすべて読み返した。 手入れされた髪がきれいとか、ショートカットでも似合っているとか、友達と話して笑っている横顔がきれいだとか。 ちょっとスカートが短い気がする、なんて嫉妬めいたことを書かれているときもあったけれど、嫌な感じではなく拗ねている彼の顔が浮かんで可愛いと思った。 そして気が付いた。 私は彼からのラブレターを捨てられない。きっとこの先にもらう手紙も宝箱にしまうことだろう。 こうやって読み返して、照れたような彼の顔や、拗ねている彼の顔を想像して笑ってしまうんだ。 それってもう、好きってことじゃないのか。
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