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宝箱の中身
押入れの掃除をしていたら、随分と懐かしいものを見つけた。
たしかこれは私が高校生の頃くらいまで宝物を入れていた宝箱だ。
中に何を入れていたのかは覚えていないけれど……。
「ふぅ~……ケホッ、ケホッ」
表面を吹けば思った以上にほこりが舞った。
私は近くに置いていたぞうきんを手に取り、軽く表面の汚れを拭き取った。
「なんだっけなぁ」
箱を開けようと思ったが、まさかの鍵付き。その鍵をどこへやったのかはこれっぽっちも思い出せない。
仕方がない。こういう時は息子を頼ろう。
普段、学校に行く以外は部屋にこもってゲーム配信をしている中学生の我が息子。
土曜日の今日は朝ご飯を食べたきりずっと部屋にこもっている。
私は悟の部屋へ行き、控えめにドアをノックした。
配信中は扉にプレートがかかるが、今は何もかかっていない。ひとりでゲームに明け暮れていたらしい悟はすぐにドアを開けてくれた。
「何?」
「ちょっと鍵開け頼んでいい? 得意でしょ?」
「何の鍵?」
「宝箱」
「……は?」
意味不明、と言いたそうな悟の視線に合わせて宝箱を掲げた。
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