ストーカー

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「ねぇ。また私の知らない写真、増えてんでしょ」 「それはまぁ……気づかれなかったら消さなくていいもんね」 「見せて」 「いいけど……」 自分に興味がないんじゃないのだろうか。 茜音ちゃんは腕を背中に回し、その手を繋ぎながら歩いていた。 肩から滑り落ちてきた鞄をキャッチし、太ももに鞄を当てるように揺らしている。 「あんたの撮る私を見てると、なんかちょっとだけ……自信っていうほどでもないけど、いいんじゃない、私、って思えるのよ」 「茜音ちゃんの自信のかてになるならいくらでも見せます! あ、でも今見たから燃やす、なんて言わないでね!」 「言わないわよ。あくまで撮られた時に気付いた分だけよ」 茜音ちゃんが肩越しに振り返って言った。 「それならいいけど」 「そうと決まればこのままあんたの家に行くわよ」 「……え!」 「何よ」 茜音ちゃんが僕の家に来る……。茜音ちゃんが僕の部屋に入るってこと? ……それって、それって……。 「僕今日で死ぬかもしれない」 「失礼ね! 私はあんたと違って犯罪に手を染めたりしないわよ!」 「僕は本人に許可を取ったもん」 くるっと振り返ってツカツカと歩み寄ってきた茜音ちゃんは、僕が避ける隙もくれず持っていた鞄で横殴りしてきた。 レンガでも詰めてるんじゃないかと思うくらい痛かった。 「うっさい! さっさと歩きなさいよ!」 「ごめんなさい……」 僕は茜音ちゃんに腕を引かれ、恐れ多くも彼女の隣を歩きながら僕の家までの道案内をさせられたのだった。
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