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「海行きたい!」 小学生の娘、夕杏(ゆあん)が夏休みにそんなことを言った。 そういえば毎年夏には海に行っているが、今年はまだ行っていなかったことを思い出す。 「よし。じゃあパパが帰ってきたら計画を立てておくから、夕杏は海に行く日までに夏休みの宿題を終わらせられるかな?」 「がんばるっ!」 グッと小さな両手で拳を握り、気合を入れる。 夕杏はさっそく自分の机にかけて行く。ぴょこぴょこと左右の短いツインテールが跳ねる。 ランドセルにしまっていた夏休みの宿題を広げ始めた。 ーー 旦那、綜一(そういち)が帰って来てから、夕杏が海に行きたいと言った話をした。 「いいな。俺もそろそろ提案しようとしてたんだよ」 「綜ちゃんが一番楽しみにしてるとこあるよね」 「楽しいだろ、海」 「日焼けがなければ楽しいかな」 夕杏が生まれる前も、毎年海のデートは欠かさなかったくらいだ。 私は苦笑しながら答え、いつの休みなら海に行けそうかを検討し始めた。
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