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「2連休の日がいいな。来週末か」
「いいね。あとは天気がどうなるかだけど……」
「夕杏にてるてる坊主でも作ってもらえばいいさ」
綜ちゃんは楽しそうに笑った。
「海決まった~?」
お風呂から上がってきた夕杏が、濡れた髪をそのままにしてリビングに入ってきた。
「おう。晴れれば来週末に行こう」
「分かった! それまでに宿題終わらせるっ!」
小さな両手で拳を握り、昼間のように気合を入れていた。
ーー
そうしてやってきた海。
綜ちゃんと夕杏は上着を脱ぎ捨てるなり、水着になって海に駆けて行った。
私はパラソルの下でひとり荷物番をする。
あまりの眩しさにサングラスで日光を遮り、遠くではしゃぐ旦那と娘を見守った。
黄色いワンピースタイプの夕杏の水着は遠くからでもよく見える。
そういえばあの子、ひとつだけ宿題が終わらなかったって昨日の夜に号泣していた。
自由研究で何しようか迷い、まだ終わっていないのだと。だけど海は行きたいと駄々っ子のように言った。
本当に可愛らしい。
私との約束を守ろうとしてくれていたことに笑みがこぼれ、「私にいい考えがあるから海に行こう」と言ったのを思い出した。
「さて。あるかなぁ」
私はパラソルの陰から腕を伸ばし、砂浜を掘る。
海から少し離れているから多くはないけれど、ソレは案外簡単に見つかった。
だけどイマイチきれいじゃない。
それからも私は荷物番をしながらソレを探し続けた。
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