第49話 ポットの感情

2/3
前へ
/76ページ
次へ
 あたしは、『あたし』って存在自体が異質でも受け入れてえくれる相手がいるって、本当の意味で実感出来たからか。  恋愛対象が異性同性とかどうのこうので、うだうだ言ってたのには結構辟易していた自分だったのに。  今のあたしは、それがどうでもよくなったの。  人間じゃなくなったのに、人間の時以上に満たされた時間を過ごしているお陰で。  時間に追われたり、ルーティンしまくってた仕事をしていないだけなのに。  あたしは、生きていることに満たされている。  しゃべる茶釜として存在しているだけなのに、ミディアちゃんのお陰で生活に潤いを感じているの。  今はかんざしの姿で、彼女の髪に揺られて移動しているだけでも、散歩程度の時間が楽しい。  だから、あたしはこの時間が好きなの。  ミディアちゃんといることで満たされているって、話しているだけでわかったわ。  男とか女とか関係なく、ミディアちゃんのことをかなり好いているの。  それが恋愛とかって、単純な感情じゃなく……尊敬とか、親愛とかの意味で。  出会ってよかったって思えるくらい、大事な存在ってあたし自身が理解したのよん。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加