ショートストーリー

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細かい所で相違があるが男はそれをこの子に 言っても仕方ないと口を噤む 女の子は更に続ける 「それでですね・・今年から 高校生なんですけど、この街に寮のある 高校が有って、 お母さんの母校なんですけどね そこに入学して、少し遠出だったんですけど 昔、この辺に住んでたなぁって懐かしく なっちゃって…よく覚えてないけど パパの家…わたしの産まれた家ですね 探してみたんです。 でも…パパの家は違う家になってて そこにはパパも居なくて それで…寂しくなっちゃって 楽しかった、この公園に来たんです この公園には楽しい思い出しかないから…」 そこで、大きく息を吐く女の子 「おじさんに話、聞いてもらって何だか すっきりしました。 ありがとうございます!」 そう言われて男は女の子の顔を、 やっと、しっかり見た途端に目が潤む 逢いたいと切に願った娘の面影が そこに、あったから 男は震える唇を何とか開き 女の子に聞いた 「お嬢さん、なっ…名前はなんて 言うんだい?」
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