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二.
二階の南角の部屋に小百合はノックもせずに入っていく。「真理恵ー」なんて親しげに声をかけながら。
室内はレトロ調の少し古めかしい書物机と丸いテーブルに椅子が四つというシンプルな室内はあまり飾りっ毛がない。そんな部屋の丸いテーブルの前に女性が一人、立っていた。
「あぁ、来てくれたのね」
にこりと微笑んだ彼女が占い師である真理恵のようだ。ゆるゆるとウエーブかかった黒髪に赤のメッシュが散りばめられている。ゴシックテイストな黒のワンピースドレスに身を包む彼女は「こんにちは」と琉唯たちに挨拶をした。
「小百合さんが言っていた後輩の子たちね」
「そうそう、千鶴とその友人。占いに興味があるらしいのよ」
「占いに興味を持ってくれるのは嬉しいわね」
朗らかな印象の真理恵は「占いって小難しく考えなくていいからね」と話す。占いは選択肢を与えてくれるだけで、どの道を選ぶかは本人次第なのだと。
出た運勢の全てを信じてしまうのもいいし、良し悪しを見て気になった箇所だけ取り入れるでもいい。ただの気休めだと一蹴するでもいいのだから。
これが絶対ということはないと真理恵は言って、丸いテーブルの隣に置かれた台の上からティーカップを手に取った。
「まずはお茶を飲んでリラックスしましょう。占いを希望する人は椅子に座って」
真理恵に促されるように小百合と伊奈帆、輝幸が椅子に座る。あと一席、空いているのを見て琉唯が「時宮ちゃん、どうぞ」と椅子を引いてやった。千鶴は「ありがとう」と椅子に座ったのを見て、真理恵がお茶の準備を始めた。
台にティーカップを並べながら「紅茶は大丈夫かしら?」と真理恵は千鶴に聞く。千鶴はよくカフェオレを飲んでいるが、紅茶も好きだったようで「大丈夫です」と少し緊張した様子で答えていた。そんな様子に真理恵は「この茶葉はお気に入りなの」と口に合えば嬉しいわとティーポットを手に笑む。
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