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指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます!
「指切った!」
そう言って小指を離すとハコは泣いてたのが嘘のように機嫌が良くなる。
しかし、再び顔色が変わる。
青ざめた表情でお股に両手を当ててモジモジと言う表現通りに腰と足をくねらせる。
「パパ……おしっこ……」
ハコは、声を震わせて言う。
「早く行ってこい」
カギは、肩を竦めて言う。
「一緒に行こう……」
ハコは、縋るようにカギを見る。
「一人でちゃんといけ。もうすぐ六歳だろう」
「ゔーっ」
ハコは、半べそになりながらも我慢出来なくてトイレに走っていく。
それを猫たちが慌てて追いかけて行く。
カギは、そんなハコの背中を愛おしく、泣きそうな顔で見つめた。
あの事件から六年。
紆余曲折を経て二人は家族となった。
しかし、それは二人の年齢に適した家族の形ではなく……。
「パパァー!」
トイレからハコの叫び声が飛んでくる。
「紙がないよー!」
「あーっわりいわりい!」
カギは、苦笑を浮かべて娘のもとへ向かった。
最愛の女性は……最愛の娘になってしまった。
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