解離性健忘

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「私を始め被害者団体で司法と世論に訴え、無罪は無理なまでも減刑が取れるよう闘う所存です」  減刑……。  そんなこと考えもしなかった。  ハコを救った後はずっとブタ箱の中でもなんなら死刑でも構わないとえ思っていたから。  そして次にハコの祖母が発した言葉にカギは衝撃を受ける。 「そして減刑でき、出所出来たら……ハコの面倒を見て欲しい」  カギの鋭い目が大きく見開く。  ハコの祖母は自分の胸に手を当てる。 「私もいつまで動けるか分からない。ハコのことを見てあげられるか分からない……」  ハコの祖母がカギを見る。  目が潤み、大きく震える。 「貴方なら……ハコを任せられる……」  それは弁護士でも厳格な女性のものでもなく、大切な孫を憂う祖母の……親の目だった。 「お願いよ……カギ君」  ハコの祖母は、静かに心の底からカギに懇願する。  自分はその問いに答える資格なんてない。  ここから出られる保障もなければハコの面倒を見ることだって出来るか分からない。  カギの目に奥で刑務官と嬉しそうに遊ぶハコの姿が見える。  ハコがこちらを見る。  目が合う。  ハコは、にこっと大きな笑みを浮かべる。
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