45人が本棚に入れています
本棚に追加
カギ……。
あの頃のハコの声が頭の中に響く。
「わ……」
カギは、小さく口を開く。
「分かりました……」
「ハコは……今日も元気ですよ」
カギは、そう言って口元に笑みを浮かべる。
「ほら、ハコもちゃんとおばあちゃんに挨拶しろ」
そう言って隣に座って南無南無言っているハコの肩を優しく叩く。
ハコは、目をぱっちりと開けて祖母の遺影を見る。
「おばあちゃん!」
ハコは、満面の笑みを浮かべて大きく口を開く。
「今日もハコは元気です!」
大声で叫び、手に持ったお鈴をマラカスのように鳴らす。
「こらっ!」
カギが怒るとハコは笑いながら逃げていく。
その後ろを猫たちが追いかける。
「まったく……」
カギは、肩を竦めて息を吐き、仏壇に向かってもう一度手を合わせる。
「ちょっと元気すぎですけどね」
カギが言うと写真の祖母が嬉しそうに笑ったように見えた。
最初のコメントを投稿しよう!