指輪

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指輪

 色褪せた丸いちゃぶ台の上に料理が所狭しと並べられる。  炊き立ての白いご飯。  ワカメのみそ汁。  半熟に焼けた目玉焼き。  昨日の残りの油揚げと大根の煮物。  バナナと畑で溶けた苺。  そして……。  カギは、ハコの前に前に小さなお皿を置く。  陽光を浴びた桜貝のように鮮やかに輝く桜でんぶだ。  ハコの目が桜でんぶと同じように輝く。 「そればっかり食べるなよ」  食事を並べ終えたカギは、ハコの右隣に座る。  その周りを猫たちが包囲するように各々好きなように座り、寝転がる。  ハコは、大きく頷く。  二人は、同じタイミングで両手を合わせる。 「いただきます」 「いっただきます!」  二人は、食事を始める。  カギは、自分の作ったみそ汁をゆっくりと飲む。  出汁こそ化学調味料だがみその味がゆっくりと染み込んで朝の疲れを取ってくれるようだ。  一晩寝かせた油揚げと大根もよく味が染み込んでいる。  カギは、醤油を取って目玉焼きにかけながらハコを見る。  あれだけ桜でんぶばかり食べるなと言ったのに皿に乗っていたものを全てご飯にかけてバクバク食べている。  しかも……。 「こら、ハコ」
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