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ハコは、急いで桜でんぶのご飯を駆け込む。
カギは、口元に笑みを浮かべて黄身を乗せたご飯を口に運んだ。
桜でんぶのご飯と苺しか食べないハコに野菜を食べるよう諌めながらの楽しい朝食を終え、あれじゃない、これじゃないと駄々を捏ねるハコを着替えさせ、歯磨きを終えるとようやく仕事に出ることが出来た。
私たちも連れていけ!と抗議する猫たちを振り切って鍵を閉め、中古で譲り受けたキッチンカーに荷物を詰めてハコを助手席に乗せて出発する。
ハコは、助手席に乗るのが大好きで自分で編集したアニメソング特集を聞きながら窓にほっぺたをつけて変わり映えのない景色を眺めている。
特に空を見ている時は日頃の騒がしさが嘘なのではと思うくらい静かだ。
カギは、そんなハコの様子を横目で見ながらハンドルを操作する。
二人がやってきたのは駅近くの商店街の小さな広場だ。
カギは、週に三回、この場所を借りて商売する。
それ以外では近所の公園であったり、オフィス街の路上であったりと色々だ。
車を止めると早速開店の準備を始める。
カギが売るのは手作り小龍包。
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