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エコバッグに大量の食品を詰めて電動自転車を押しながらやってくる。夕飯の手抜きの為の一品、もしくはお昼に自分の胃袋に入れる為に。
主婦達は物珍しい小籠包のキッチンカーに目を輝かせてながらシンプルな小籠包とチーズやトマト入りを買っていく。
カギが注文を受け、接客し、ハコが汁が溢れないように丁寧に袋詰めしてお客さんに渡していく。
ハコが「はいっどうぞ」と可愛らしい笑顔で渡すと主婦達も思わずほっこりした顔を浮かべ「可愛い奥さんでいいわね」とカギに声をかけて帰っていく。その度にハコが「奥ちゃんじゃないよー」と不満そうに口にする。
十二時になると近くの会社や工場からたくさんの人がやってくる。
「ハーコちゃん!」
「今日もきたよー!」
常連のOL達が手を振ってやってくる。
「お姉ちゃん達、こんにちは」
ハコは、にこやかに笑って挨拶する。
どう見ても彼女達は二十代前半でハコより年下だ。
しかし、お姉ちゃんと呼ばれても気にした様子もなくハコに楽しそうに声をかけてくれる。
説明しなくても何となく察してくれているようだ。
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