カギとハコ

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 大きな金の板で奴らの象徴(シンボル)である羽を大きく広げた孔雀の彫られた趣味の悪すぎる大きな扉が。  この奥にラスボスがいると告げんばかりの扉が。  そしてここにいるんだ。 「ハコ……」  カギは、小さく、泣くように呟く。  そして扉を破壊するように睨みつけ、両手を扉に叩きつけた。  空気が弾けるように扉が開く。  カギは、絶句する。  様々な修羅場を超えてきたと自負するカギが思わず鼻を覆いたくなるような血の臭いが部屋の中を充満していた。  そして目の前に広がる現実離れした異様な光景に。  数えきれない燭台に灯された蝋燭の火、室内を流れる呪詛のような経、気味が悪いくらい大きなベッド、そしてその上で激しく揺れる大きな塊……。  カギは、それを人間として認識することが出来なかった。  どこかの精肉屋で売ってるような規格外にでかい豚足がトランポリンの上で跳ねている。  そうとしか見えなかった。  今、思えば脳があまりの衝撃的な映像からカギの心を守ろうとコミカルに見せようとしていたのかもしれない。  しかし、それは一瞬のこと。  視覚に掛かった(もや)が抜ける。
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