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そんな太陽のようなカミルを見つめ、この人のもとに嫁ぐのならきっと大丈夫だと、何故かそう思えた。
◇
ルフィナは、少々落ち着かない気持ちでカミルの前に座る。
初対面ではあるものの、夜には婚約発表がある。それまで少し交流を深めよとのことで、部屋に二人残されたのだ。
きっとそれは、ヴァルラムの嫌がらせに違いない。彼は、ルフィナがカミルに怯えていると思っているだろうから。
怯えるなんてことはひとつもないけれど、ふわもふな耳を触ってみたくてうずうずはしている。それを言い出すのはさすがに失礼だろうからと我慢しているが、つい何度も視線をやってしまう。だって時々ぴくりと動くのだ。可愛くてたまらない。
「――ホロウードの妖精姫」
なるべく見ないようにしようとうつむいていると、ふいにカミルがぽつりとつぶやいた。思わず顔を上げると、まっすぐに見つめるカミルと目が合った。眼光は鋭いけれど、いつも不機嫌な兄に比べたら、彼の金の瞳は随分と柔らかな色をしている。
「あなたの噂は、アルデイルにも届いていた。国民は皆、あなたに会うのを楽しみにしている」
「ありがとうございます。妖精姫だなんて大層な呼び名がついていますが、実物を見てがっかりされないか心配ですわ」
ルフィナの容姿は確かに整っているが、それだけだ。おまえは国で採れる鉱石よりも価値がないのだと、常々兄には言われている。
謙遜したルフィナを見て、カミルは大きく首を振った。ついでに耳もぷるぷると揺れる。
「そんなことはない。あなたはとても綺麗だし、俺はあなたと婚約できて良かったと思っている。……願わくば、あなたにもそう思ってもらえたら」
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