ふたりで迎える朝

1/5
前へ
/161ページ
次へ

ふたりで迎える朝

 夜明けとともに目を覚ましたルフィナは、隣にカミルがいることに気づいて目を瞬いた。何故ここに彼がと考えかけて、昨晩はカミルに抱かれたことを思い出す。  誰かと一緒に眠るなんて初めてだが、彼のぬくもりがそばにあるのはとてもいい。  仕事を思い出したと言って部屋を出て行ったはずだが、熟睡していて彼が戻ってきたことには気づかなかった。  それでも、二人で一緒に朝を迎えることにくすぐったい気持ちが湧き上がる。  あらためて、彼の妻になったのだなと実感しつつ、ルフィナは眠るカミルの顔を観察する。いつもは大人びて見える彼も、目を閉じているとどこかあどけない。眠っていても耳は聞こえているのか、時々ぴくりと動くのが可愛らしくて、ルフィナはこっそりと悶えていた。触りたいけれど、そうしたらきっと起こしてしまう。  しばらく寝顔を観察していると、カミルが微かに眉を顰めた。同時に耳もぴこぴこと動く。  可愛すぎるその耳の動きに目を奪われるルフィナの前で、カミルが低くうめいて目を開けた。 「ん……、おはよう、ルフィナ」 「おはようございます、カミル様。よく眠れましたか?」 「うん、まぁ。……冷えるから、寝衣を着てって言ったのに」  その言葉に、ルフィナは服を着ないまま眠りに落ちたことを思い出す。未だに全裸だったかと慌てて確認すると、きっちりと寝衣を着せられていた。しかも初夜専用の薄い下着ではなく、透け感のないしっかりとした素材のものだ。 「もしかして、カミル様が着せてくださいました?」 「風邪をひいたら困るからな。……その、あまり見ずに着せたから、ボタンがずれてるかもしれないが」
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加