甘く苦い初夜(カミル視点)

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甘く苦い初夜(カミル視点)

 カミルの決死の宣言に、ルフィナはきょとんとした表情で首をかしげた。それはそうだろう、彼女が戸惑うのも当然だ。どう考えてもこの場で口にすべき言葉ではない。  ルフィナが身じろぎするたびにいい香りがして、カミルの理性に働きかけてくる。ほとんど隠せていない薄布の下の肌を見ないようにと必死で顔を背け、カミルはお互いの種族差や体格差について説明した。  それなのに、ルフィナは痛みなど平気だと笑い、あろうことか勢いよく夜着を脱ぎ捨てるとカミルを押し倒してきたのだ。  閨の知識は一通り頭に入れていたとはいえ、カミルとて清い身。初めて目にする女性の身体は感動するほどに美しく、たわわな胸を押しつけられ、至近距離で妖艶に微笑みかけられれば、身体はあっという間に反応してしまう。  重ねられた唇は信じられないほどに柔らかく、そして甘かった。  年上の男らしくルフィナを優しくリードしようと思っていたのにとか、いやむしろ今日は抱かないと宣言したはずだとか、途切れがちの思考でそんなことを思いながら、気がつけばカミルはしっかりとルフィナを抱きしめて彼女の唇をむさぼっていた。  甘い口づけに溺れ、どこかぼうっとした頭で、自らの身体の上にまたがるルフィナを見上げる。驚くほどに軽いのに、柔らかくてあたたかな身体。もっと触れてみたいという欲望に耐えきれず、カミルは思わずごくりと唾を飲み込んだ。  だが、カミルが彼女に手を伸ばす前に、ルフィナはするりとカミルの上から退いてしまった。
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