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それなら私から
まさか押し倒されると思っていなかったのか、彼の身体はあっけなく倒れる。広いベッドは、微かに揺れるだけでほとんど軋むことなく二人分の体重を受け止めた。
「え? ちょ、待っ……!?」
小さく叫ぶのを無視して彼の上にまたがり、ルフィナはにっこりと笑った。
「大丈夫です。ちゃんと、事前に学んできましたの。必ずやカミル様を気持ち良くして差し上げますわ」
「い、いや待て、ルフィナ……っ」
「安心して、全て私にお任せくださいな」
微笑みつつ、ルフィナはカミルの顔をのぞき込んだ。金色の瞳が、まあるく見開かれているのが可愛らしい。何かを言おうとして開いたままの唇に自らのそれを重ねれば、彼が更に驚いたように身体を震わせた。
挙式の時にも、二人は触れるだけの口づけをした。それは、婚姻を神に誓うための神聖な口づけ。
今からするのは、淫らな初夜の始まりを告げるキスだ。
弾力のある唇の感触を楽しみながら、ルフィナは彼の口の中にそろりと舌を忍び込ませる。熱い口内に、ルフィナの体温も上がっていく。
「……っ、ぁ」
キスの合間にカミルが小さな声を漏らす。吐息まじりのその声は壮絶に色っぽくて、ルフィナは背中がぞくぞくするのを感じた。
奥の方で逃げるように縮こまっているカミルの舌を、誘うように舌先で撫でる。それだけで彼はびくりと身体を震わせた。
「カミル様、可愛い」
くすりと笑みを漏らして、ルフィナは再び口づけに没頭する。深いキスのやり方は本で読んだだけで実践は初めてだが、これほどまでに気持ちのいいものだとは思わなかった。お互いの舌を絡め合うだけで、こんなにも興奮するなんて。
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