それなら私から

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 そう思っていたのに、性交というのは予想以上に難しいものだった。  しばらくして、ルフィナは眉を顰めて深く息を吐いた。 「……っ、これは、なかなか……大変、ですわね」  書物にも初めては痛みを伴うものだと書いてあったが、想像以上だ。強引に押し込もうとしてみるものの、明らかにルフィナの身体では受け入れられないサイズ感な気がする。場所はここで合っているはずなのだが。 「痛ぁい……っ」  必死に受け入れようとしてみるが、痛くてたまらない。まるで身体が引き裂かれてしまいそうだ。覚悟していた以上の痛みに、思わず悲鳴が漏れる。勝手にあふれた涙が、頬を伝っていった。 「く……ぁ、ルフィナ」  カミルも眉を顰めて苦しげだ。  初夜がこんなにもお互い苦痛を得るものだと思わなかったと、ルフィナは顔をしかめた。世の中の夫婦は皆、この苦しみを乗り越えているのだろうか。もうちょっと甘く幸せなものだと期待していたのに。  正直もうやめたいと思う気持ちが湧き上がるのを、自分の立場を思い出せと言い聞かせて必死でねじ伏せる。ふと視線を落とすと、シーツに微かな血がついていることに気がついた。指先を切った時と同じくらいの少量の出血だが、破瓜の証に違いない。ルフィナは安堵のため息をついた。  書物で読んだ通り、確かに死ぬほど痛かったけれど、なんとか性交を成し遂げることができたようだ。   「カミル様、終わりましたよ。ほら見てください、シーツに血が」 「え、終わっ……? あ、あぁ」
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